杖道部について

杖道部 部長  瀧澤 利行

事務局所在地  さいたま市西区三橋6-1119-3   12-104 松浦方

〇活動内容

 杖道部は、平成13年に埼玉県剣道連盟の加盟団体として発足した。現在、県内には1 2支部があり、各地域で活動している。

 公式行事として、埼玉県杖道大会、一級以下審査会(年3回)、五段以下審査会(年2回)、講習会(年7回)を実施している。

 平成23、24年度には、上尾運動公園事務所主催のスポーツスクールで杖道教室が開講し、講師2名を派遣した。また、平成25年度からは埼玉県立武道館主催で武道教室に杖道教室が開講し、現在、講師4名を派遣している。

〇特色

 杖道を始める年齢が他の武道に比べてやや高めで、退職後に稽古を始める方も多くいる。杖道は、剣、鑓、薙刀などの長所を取り入れつつ、柔術などの体術の要素も加味した独自の技法によって体系化された武道である。

 身体をバランスよく使うため、老若男女を問わず、また、特に稽古場所を選ばずに稽古できるため、多くの地域で広まる可能性がある。

〇運営の基本方針

 前記したように、老若男女を問わず、多くの方に愛好してもらえる武道でありながら、他の武道に比べて知名度が低いのが、悩みの種でもある。コロナ感染拡大という状況の中で会員数が減少したが、今後も、あらゆる機会を活用して、会員の技量向上と知名度を上げるための活動を行っていく。

〇執行部

 部  長  瀧澤 利行

 副  部  長  上田 花代子

 常任理事  平野 弘美

 常任理事  関根 豊

 事務局長  松浦 富士雄

〇会員数   百七十名 (令和五年度)

〇支部及び責任者並びに主な活動場所等    杖道活動場所一覧表.pdf

     

形武道だからこそ・・・

上田 花代子

(杖道教士八段・剣道錬士六段)

 かつて全日本剣道選手権大会における杖道公開演武の折には「全日本剣道連盟杖道は、今から約四百年前、夢想権之助勝吉により創始された神道夢想流杖道を起源とし、昭和43年に基本12本・形12本が制定され、攻撃を主とせず相手の変化に応じて制圧するのが本旨であり、左右等しく使う杖道は体育方面から見ても有効・適切な武道であります。」と紹介されておりました。この全日本剣道連盟杖道は、本年で制定され50年を迎えます。私自身この全剣連杖道から稽古を始め、師匠より許されたのち、神道夢想流杖道を学び始めました。

 杖道の稽古を始めた頃は剣道四段を受領したばかりの19歳の時でした。師匠・米野光太郎先生(杖道範士九段)より「杖道の稽古は剣道の近道だぞ!」とお話を伺った時は、まだまだその意味も理解しておりませんでした。しかし時を重ね二道の稽古を続ける内に、その意味が少しずつ感じられるようになりました。

 杖道は一切の防具を使用せず、打太刀は気の充実した機会をとらえ、切る・突く、仕杖はそれを見切って捌き、その攻撃を制圧し、打ち止めるという形武道であります。その技の数々はただ形や順番を追えばよいものではありません。

 剣道の攻防のように、相手がどのような手で仕掛けてくるのか、また自らが仕掛けるのかを、瞬時に判断し勇気を持って打突するものではありませんが、杖道はその攻防が決められているからこそ、相手の動作を見極め、機先を制する力を養えるのです。それには、如何なる相手の攻撃にも対処できる身構え・気構えが必要であり、こと身構えにおいては「自在に体を操れる構え」でなければなりません。

 また「自在に体を繰る」とは、好き勝手に動けるというものではなく、いかに効率的で無駄のない体捌きができるかということです。これには大変な我慢が必要となります。

 決められた約束動作の形武道で得られるものはまだまだたくさんあると思います。今後も更に、杖道に精進し、師匠の言葉の意味を深めて参りたいと思っております。

 最後に、杖道の古歌には「傷つけず 人を懲らして戒しむる 教えは外にやはある」とあります。私はこれこそが「礼節」だと感じております。

 「礼節とは 人と人とが交わるにあたり まず相手に敬意を表することに発し 人と人との交際を整え 広く社会秩序を保つものである 武道を学ぶものは 外に礼儀を重んじ 内に礼の精神を深めることが肝要である」

 この教えは、今も、日本武道館小道場の壁に掲げられております。

 杖道という形武道だからこそ、自身の姿を見直せる気がいたします。師匠に、そして杖道に感謝の日々でございます。